初稿:2003年12月24日 更新:2018年6月6日(再構成、動画・写真追加)
協力隊でイスラマバードに赴任した直後の2003年8月、
市内にある製鋼所を訪れる機会がありました。
本項は、その時の様子を綴ったものです。
鉄筋製造のようす(2013年|Youtubeから)
Youtube | پاک سٹیل مل .اسلام آباد .PAK STEEL MILL ISLAMABAD PAKISTAN 2013 VISIT
見学してから10年後の2013年に、別の方が撮影・Youtubeにアップされたものです。
私が見学した時と同じ製造過程でした。
真赤に熱せられた鉄線が勢いよく飛び出すのを、作業員さんが触っていますね。
耐熱手袋をつけてらっしゃると思いつつ、大変な仕事だなぁ、と改めて思いました。
イスラマバードの製鋼所訪問(2003年8月)
イスラマバードに赴任して1か月ほど経った頃、語学研修や現地生活訓練の一環で、3日間ホームステイをさせてもらったことがあります。
ホストファミリーさんが、パキスタン・スティール(Pakistan Steel Mills)という国営の製鋼会社に勤めていたことから、この製鋼所訪問となったのでした。
パキスタン(1995年~2009年派遣中止)では、ほとんどの場合、一軒家か、そのうちの1フロアを借りて生活しました。
なので、他国隊員では多いホームステイ経験をする機会は限られていました。
こういう場所は、なかなか見ることのできないもの。
興味津々で訪れたことを思い出します。
パキスタン・スティールは、ソ連の援助で設立された前身企業が1970年代に、ブット首相の国有化政策により国営企業となった歴史を持つ、パキスタン有数の鉄鋼会社です。
本社はカラチに置かれていますが、鉄筋などの鋼材を製造するプラントが各地に置かれています。
Wikipedia(EN) | Pakistan Steel Mills
https://en.wikipedia.org/wiki/Pakistan_Steel_Mills
イスラマバード郊外にある製鋼所。
建物は年季が入り、機械類も長年使用されている感がありました。
そのなかで、きちんと掃除が行きとどいている白い建物がありました。
あれはなに?と聞くと、工場従業員のためのモスク(マスジッド=イスラーム寺院)だということでした。
確かによく見ると、アザーン(お祈りの呼びかけ)を流すスピーカーが屋根上にありました。
工場の中には、長い鉄の延べ棒と、圧延された鉄筋が雑然と置かれていました。
↑鉄の延べ棒を圧延しているラインの写真です。
こちらは反対側から撮った画像。
この工場で最も機械化された工程の部分なのですが、コンピュータ制御ではありませんでした。
鉄の延べ棒や砂などの資材を、リモコンを操作しバケットで運んでいます。
このエリアは「危険につき、関係者立ち入り禁止」の表示がされていましたが、ヘルメットをかぶる人はいませんでした。
ほとんどの工程は人力に頼っていましたし、
馬が荷車を引く様子も見られました。
そして、いちばん驚いたのは、これを撮影したのが日曜日であるということ。
工場を案内してくれた担当者の方が「うちは日曜日も休まず操業してますよ」と話していたのを思い出します。
グーンと古い設備、安全対策が全くといっていいほどなされていない中、黙々と重労働をこなすひとびとの姿が、今も目に焼き付いています。