بڑی عید Bari Eid (大イード・犠牲祭) : Islam イスラム教(7)

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初稿:2003年11月29日 更新:2018年6月20日(再構成、写真追加)

بڑی عید Bari Eid? 犠牲祭?

イスラームの重要なお祭り عید Eid イードは年に2回行われます。

1回目:イスラーム第10の月(ラマザーン)明け
Eid ul-Fitr | چھوٹی عید Choti Eid | 小イード(チョーティー・イード)
2回目:イスラーム第12の月(ズル・ヒッジャ)10日目から4日間
Eid ul-Adha | بڑی عید Bari Eid | 大イード(バリー・イード)

です。祝いの期間が比較的長いとされる犠牲祭の方のイードを「大」イード(ウルドゥ語で بڑی = 大きい)と呼んでいます。どちらのイードも重要度に違いはありません。

西暦(太陽暦)の中でイスラーム暦(太陰暦)は動いていく

こよみのページ
http://koyomi.vis.ne.jp/sub/islamic.htm
によれば、2018年中のイスラーム第12の月は以下の通りです。

2018年中のイスラーム第12の月

この第12の月中に حاج Hajj ハッジと呼ばれる大切な巡礼行事がマッカ(メッカ)で行われ、10日目にジャマラートの投石など巡礼の最重要行事が行われ、併せて生贄(いけにえ)が捧げられます。同様に世界中のムスリムたちも生贄を捧げ祝います。

↑のカレンダーを基にすると、10日目=2018年8月23日ごろになります。
イスラーム暦(太陰暦)と西暦(太陽暦)の違いで、毎年変わって行きます。

関連リンク

حاج Hajj ハッジ:巡礼 : イスラム教(6)
/islamic06.html

Wikipedia(JP) | イード・アル=アドハー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%8F%E3%83%BC

New Muslim Guide | イード・アル=アドハー(犠牲祭)
http://newmuslimguide.com/ja/your-pilgrimage/300

生贄を屠り、振舞うことは重要な実践

クルアーン(コーラン)の中に、
さあ,あなたの主に礼拝し,犠牲を棒げなさい。(第108章第2節) http://www.krn.org/ja/108.aspx
とあり、ムスリムにとって、生贄を捧げることは大切な宗教的実践です。

生贄は、家単位または隣近所単位で、羊、牛、らくだなどを買い、それらは大イードが始まった数日の間で屠られます。
家族、親戚・隣近所、貧しい人に3等分して分けることが通例で、この時期は慈善の意識もかなり高まります。生贄は qurbani クルバーニーと呼ばれています。

Youtube | eid qurbani 検索結果(検索先の動画に屠るシーンが含まれます:視聴注意)
https://www.youtube.com/results?search_query=eid+qurbani

イスラマバードの大イード(犠牲祭:2004年・2005年)

2004年:2月2日(月)~4日(水)
2005年:1月21日(金)~23日(日)
が大イードでした。
イード前週には、街のあちこちでこんな光景が見られました。

連れていかれる生贄用の牛(2005年1月)

生贄用の山羊(2005年1月)

生贄用の山羊。当時の相場1頭5000ルピー(約1万円:当時:2004年1月)

生贄用としてバクラー(山羊)やガエー(牛)などが街のあちこちで取引されていました。
Bakra バクラー(山羊)で3000PKR(6000円) – 5000PKR(10000円) (2005年当時)
Gae ガエー(牛)で50000PKR (10万円)(2005年当時)
するという話で、この時期はとても高いそうです。
牛などは、近所で共同購入されていました。

そして、買われた動物たちは、大人や子どもの手に引かれてそれぞれの家に連れて行かれます。

買われてきた山羊が通りのあちらこちらに(2004年2月)

生贄用の牛(2004年2月)

メス山羊や雌牛は利用価値が高い(子どもを産む&乳が出る)こともあるからでしょうか、生け贄用としては見かけませんでした。(2005年1月21日追記)

イードが始まるまで、子どもたちが山羊をあちこちに連れ回して遊んでいました。
そして、イードの初日。
この日、朝5時過ぎのアザーン(お祈りのよびかけ)は、いつもより大きく街に響いていました。
そして、7時半過ぎにもアザーンが流れました。人々がマスジッドに向かう光景をいたるところで見ました。
お祈りが終わった8時半~9時過ぎごろから、街のあちこちでバクラー(山羊)やガエー(牛)をさばきはじめます。

業者を呼んで行うことが多い(2004年2月)

解体に使われる刃物(2004年2月)

生贄を屠るのは、イード2日目などの別の日にもおこなわれているのを見ました。

方法は、イスラームのしきたりにのっとっています。
まず、Bismillah ビスミッラーと唱えながらのど元を一気にかっ裂きます。
動物たちがなるべく苦しまないように、非常に手際よくおこなわれていました。

そのあと、軽いバクラー(山羊)は木の枝につるして、重いガエー(牛)はそのまま寝かせて皮をはぎます。
皮はコートや敷物にするために、お腹から裂いてきれいにはいでいきます。
皮をはいだあとに、肉を切り分けていきました。こうした作業は、家族総出で行うところもあれば、業者さんを呼んでさせているところなど、いろいろでした。

生け贄のことをウルドゥ語で、Qurbani クルバーニーと呼んでいますが、1日に1頭の家もあれば、兄弟親戚が一同に会して5頭6頭さばくところもあります。
また、ガエー(牛)は隣近所で共同購入してさばくこともよくおこなわれています。

さばいた肉は、家族用、親戚・隣近所用、貧しい人々用などに分けられます(2004年2月)

はいだ皮が天日で干されています(2004年2月)

肉は、自分の家で食べるだけでなく、親戚や近隣の人、貧しい人に分け与えるようになっていて、肉の部位を見極めながら袋に詰めてあちこちに配っていました。

街中に貼られた生贄の皮を募る張り紙(2005年1月)

また、皮は買い取る業者がいて、聞くところでは、バクラーの皮が200PKR、ガエーの皮が1000PKRで取引されているそうです。 (2005年当時)
イードの期間中は、街のあちこちでその取引を見ることができました。

イスラマバードに貼られた、生贄の皮の寄付を呼び掛ける張り紙(2004年2月)

たいていの家庭では、Masjid マスジッド(イスラーム寺院)に無料で供出し、マスジッドやマドラッサ(イスラーム神学校)の運営費用&貧しい人たちへの施しの足しにしてもらっています。(2005年1月21日追記)

さばかれた肉は、すぐにカレーや炊き込みごはんとして調理され食べられていました。
さばくスペースの都合上、道ばたでさばかれていることが多いです。
そうした道端には石灰が撒かれて、衛生面で配慮がされていました。片付けもキチンと行われていて、残っているのはわずかな血だまりだけ。それを見なければ何がおこなわれたかは分からないくらい見事なものでした。