もう一度

2年くらい寄りつかなかった長男が、また食事しに来るようになったのは、昨年のお盆休みからだ。

よほど気持ちが弱っていたのだろう。

なんで働く時間をそんなに少なくしているのか。

なんで簡単なアルバイトばかりを選んでいるのか。

なんど訊いても長男は答えなかった。

なにをしたいのだろう。

なにもしたいことがないのだろうか。

ただ無気力なのだろうか。

それがこの人のスタイルなのだろうか。

と案じていたが、そうではなかった。

今年になってから見せてくれた。

長男は、ビックリするような量の詞や小説を書きためていた。

そうか、自分の時間が欲しかったのか。

ワケがわかって、納得できてうれしかったけれど。

見えなかったものが見えるようになったことは、良いことかもしれないけれど。

世の中には才能豊かな人がそれはそれはたくさんいるのだよ。

その人達の大部分がその才能を評価されることがないまま年老いていくことを思えば、切ない。

もう一度、長男の背中の肩甲骨と肩甲骨の間に、私の両手を並べて、今度は丁寧に押し出してやれないだろうか。

そんなことをずっと考えている。

もっと早い時期に言ってほしかったと思うのだが、言えなかったのは、言えなくさせていたのは、私なのだろう。