Truck Art in Pakistan : パキスタンの「デコトラ」ック・デコバス

初稿:2005年4月22日 更新:2018年6月13日(シンド州で見かけたデコバス、トラック追加)

はじめに

パキスタンに来て、驚いたことのひとつが、「デコトラ」。
コテコテに装飾されたトラックでした。むむ、トラックだけじゃないですね。協力隊活動当時、隊員の間では「ギンギラバス」とも言ったバス、スズキ・軽トラックを改造したバス、トラクターなんかも。
このページでは、「デコトラ」ック・「デコバス」をご紹介します。

Tractor & Other Vehicle Art in Pakistan: パキスタンの「デコトラ」クター!+その他編(後日公開)

QINGQI (キンキ:乗合三輪バイク) と TANGA (タンガー:乗合馬車)
http://ktc-johnny.com/qingqi_tanga.html
スズキ!(SUZUKI:軽トラックバス)
http://ktc-johnny.com/suzuki.html

パキスタンの乗り物
1:メトロバス・コースター・ワゴンバス・VARANバス(廃止) | 2:タクシー・リキシャー・馬車・ジープ | 3:バス

デコトラ予備知識

Google画像検索してみた “truck art pakistan”

検索結果
https://www.google.co.jp/search?q=truck+art+pakistan&client=psy-ab&hl=ja&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwia7MbQi5fbAhXIJZQKHQG_AaIQ_AUICigB

膨大な数の画像がヒットします。どれもディーテールを拡大してみたくなるクオリティ。

ラーワルピンディのデコトラ工房(CNN取材)

Youtube | Atristic Trucks


音声英語:画面下に字幕ボタン
CNN取材の動画。女性レポーターが、(おそらく)ラーワルピンディにあるデコトラ工房のひとつを取材。
カッティングしたシールを組み合わせて貼る、一般的なデコレートの過程を紹介しています。
1台のデコレート、仕上げるのに5~6日、代金は、5万5千ルピー(660ドル)です」とレポートしています。

CNN : Colorful trucks decorate Pakistan’s roadways
(動画中の写真紹介:2009年12月24日)

http://edition.cnn.com/2009/WORLD/asiapcf/12/24/pakistan.truck.art/index.html

ファイサラバードのデコバスマスター(アルジャジーラ取材)

Youtube : 🇵🇰 How are Pakistan’s buses painted into beautiful art? | AJ Shorts


音声パンジャービー語:英語字幕
アルジャジーラ取材。パンジャーブ州ファイサラバードで40年5000台以上のデコレーション・バスを請け負ってきたデコバスマスター、ムハンマド・ラフィークさん(Muhammad Rafiq)を紹介。
彼の手掛けたデコバスはパキスタン全土で活躍しているということで、出会ったことがあるのかもなぁ。
他方、デコバスアート職人は平均日給600ルピー(6ドル)、仕事で使う塗料、溶剤、ガソリン等で肺を病んでいる(職業病)という問題点も明らかにされています。

AlJazeera | Transforming Pakistan’s buses into art(記事 2017年8月22日)
https://www.aljazeera.com/indepth/features/2017/08/turning-buses-art-pakistan-170821121439045.html

わたしが撮ったデコトラ動画

2010年9月:ハイバル・パフトゥンハー州にて

Youtube : パキスタンのデコトラ! A typical decoration truck in Pakistan


パキスタン水害支援で訪れた、KP州(カイバール・パフトゥンハー州) Nowshera ノウシェラ郡 Risalpur リサルプール市で、物資配布に使っていたトラックです。
ナンバープレートに、NWFPと刻印されていますが、これは、KP州旧名の北西辺境州(North West Frontier Province)に拠るものです。

2013年8月:フンザ・カリマバードにて

Youtube : A Decorated Truck in Karimabad, Hunza | July 2013


フンザ・カリマバードで、デコトラと遭遇。日野レンジャーの車体ベースでデコレーションされた、山岳走破仕様かなと思った質実剛健な印象のデコトラでした。

フンザ・カリマバードにて(2013年8月)

フンザ・カリマバードにて(2013年8月)

2010年9月:シンド州タッタ近郊にて

Youtube : A sugarcane loaded truck in Sindh, Pakistan


パキスタン・シンド州のタッタへ通じる幹線道路そばで、収穫したサトウキビを工場に運ぶトラックが休憩で停まっていました。
伝統的なボンネットトラック、装飾は古ぼけていますが、これはこれで味がありますね。トラック全周撮らせてもらいました。
しかし、これだけ大量のサトウキビを、バランスよく載せるのは匠の技だなぁ。

シンド州にて(2010年9月)

シンド州にて(2010年9月)

イスラマバード郊外でピカピカのデコトラを撮った(2005年4月)

イスラマバードの郊外、ピールワダーイのそばに、سبزی منڈی Sabzi Mandi サブジ・マンディ(野菜市場)があり、各地から野菜を積んできたトラックが集まってきます。
協力隊活動中の2005年4月、そこを通りかかったときに、とってもきれいなデコトラを発見!
聞いてみると2~3年ごとにやる化粧直しが終わって、今日ががお披露目だというじゃありませんか!
あまりにきれいだったので写真を撮らせてもらいました。

とても色鮮やかなペイントで、見とれてしまったことを覚えています(2005年4月)

フロント部分。まるでリーゼントのような(笑)突き出たひさしが、パキスタンの伝統的なデコトラの特徴です。(2005年4月)

極彩色のデコレーション鮮やかなフロントバンパー部分。手書き彩色とカラーシールをうまく組み合わせたデザインです。(2005年4月)

3つのランプは走行時のスピード表示ランプ(ダミー?)。このひさしのおかげで空気抵抗がアップし、スピードが出ませんが、細かいことにこだわらない、派手派手に粋なのがパキスタン・デコトラ。(2005年4月)

この電飾、ダミーっぽい。でも、こんだけお金をかけて装飾している車はなかなか見られなかったので、テンションあがりました。(2005年4月)

助手席ドアからボンネット部分を眺める。(2005年4月)

「GLT」はギルギット(GILGIT)を指しています。デコトラには多いナンバー。(2005年4月)

極彩色の荷台装飾

極彩色の荷台装飾(2005年4月)

装飾のアップ

鳥(孔雀ですかね)はシールを貼り合わせて表現(2005年4月)

鳥の彩色

鳥の彩色。手描きです。(2005年4月)

鳥の彩色

鳥の彩色。こちらも手描き(2005年4月)

タイヤホイールの彩色

タイヤホイールの彩色。ここまで描きこんだデコトラは初めてだった(2005年4月)

後ろの部分

近くに住む子どもたちがずっと離れず写真を撮る様子を見ていた(2005年4月)

カラコルムハイウェイだけでなく、パキスタンの道路事情はイスラマ~ラホール間の高速道路や主な幹線道路を除けばよくありません。
そんな道を運転し続けるのはやはり並大抵の体力や根性ではできない仕事でしょう。
そんな仕事に誇りをもつといいますか男意気を示すといいますか、そんなものがこのコテコテの装飾にこめられているように感じられました。

デコトラ・デコバス写真いろいろ

ペシャーワルで(2005年ごろ)

ペシャワールのギンギラバス

ペシャワールのギンギラバス(2005年ごろ)

ペシャーワル(Peshawar)のサダルで見かけた郊外行きのバス。
イスラマバードでは、2005年時点でこうしたバスを見かけるのはほぼなくなりましたが、地方ではまだまだ現役の主力交通機関として走っていました。

バスの天井部

バスの天井部(2005年ごろ)

お金をかけてこのようなギンギラの装飾を施すのがバスオーナーの心意気といったところ。
天井部はこうした装飾を施す他は必ず荷物や人が乗るスペースがもうけられています。

ラーワルピンディで(2011年3月)

ラーワルピンディ・ピールワダイのバススタンドにて。フロントガラスに行き先(کہوٹہ Kahuta カフタ:ラーワルピンディ近郊の町)(2011年3月初旬)

ラーワルピンディで(2004年ごろ)

デコトラ

ラーワルピンディにて(2004年ごろ)

ラーワルピンディ(Rawalpindi)で見かけたデコトラ。
中古トラックを日本から輸入し、当地でボディーを改装した和パ折衷の一台。
日野・ニッサンなどの日本メーカーのほか、フォードなども見かけます。
ただし、日本車なのにベンツのニセエンブレムがついていたり・・・なんてことは普通(笑)。

デコトラ

ラーワルピンディにて(2004年ごろ)

こちらもラーワルピンディで見かけたデコトラ。典型的なデコトラです。
荷台部分にはウルドゥ語で地名などが書かれています。
カメラに敏感なというかカメラ好きなパキスタンの人が多く、助手席の人はさりげなくカメラ目線でした(笑)。

カラコルム・ハイウェイにて(2004年8月)

カラコルムハイウェイ・ダスー付近で(2004年8月)

フンザから、カラコルム・ハイウェイをラーワルピンディ行きのバスに揺られて帰る途中、休憩場所に停まっていたデコトラ。

シンド州で見かけたデコバス&トラック(2010年、2013年)

シンド州タッタ近郊にて(2010年9月)

シンド州タッタ近郊にて(2010年9月)

このバスは、水害救援活動中の2010年9月、タッタ近郊のゴーラバリ地区で撮影しました。

バスの赤系色遣いに、新鮮な印象を受けました。
シンド州の地方部に来ると、シャルカミの色使い、街の印象などにイスラマバードでは感じられない何か違うものを感じるんです。
インドの香りが漂ってくる気がします。そんな印象をこのバスからも受けました。

シンド州ノーコートにて(2013年8月)

シンド州ノーコートにて(2013年8月)

このトラックは2013年8月にシンド州最奥部のノーコート砦で撮影しました。

韓国製ヒュンダイトラックをデコレーションしています。
これくらいのサイズのトラックは、モノだけでなく人を運ぶバスとしても大活躍しています。