初稿:2004年10月7日 更新:2018年5月27日(写真チェック、文章手直し)
彼がこの障害者職業訓練センターに来て3年程が経ちます。
そのころのことを、シーミー先生はこう語ります。
「はじめのころは、あっちこっちフラフラしているし、先生や生徒おかまいなしにたたいたりひっかいたりしていたのよ。それがこの3年で本当に変わったわ」
彼はラーワルピンディという街からスクールバスに乗ってやってきます。
朝礼のとき、彼はたいてい最前列か2番目に並ぶのですが、そのときの目つきは鋭く、ちょっとしたワルの風貌なんです(笑)。
ちょっとお天気やさんのところがあり、怒られたりするとうつむいてしまって話をきいてくれようとはしません。
でも、機嫌が直るとカラッとしてニコニコ作業をしています。
気がつくと、私が持ってきていたボールペンが次の朝には彼の胸ポケットに入っていたりする隙のない男(笑)ですが、ぜんぜん彼のことを憎めませんねぇ。
彼に「ちょっとそこんところ掃除してくれる?」って頼むと、もういっしょうけんめいに部屋全体を掃除してくれます。
パキスタンにもカーストの影響が残っていて、掃除は掃除夫(の身分)がするものだって慣習がいまだに根強く残っています。
だから、掃除をいやがる子どもは結構多いんです。
でも、ビラール君にはそんなこと関係なし。
「メン ガオーン ジャーウンガー ・・マムー ケ サート」
(僕は、田舎に(遊びに)行くんだ。・・いとこ と一緒に)
なんていつもいってます。そのときの顔はとってもうれしそうでしてね。